オランダ大使館・オランダ総領事館, Japan

オランダの社会

日蘭社会保障協定

2007年4月、日本とオランダは社会保障協定に合意しました。

今後テキストの確立に向け、追加となる事務的合意や両国政府の法的機関の精査が行われ、さらに両国の国会承認を含む批准手続きが必要となりますので、2008年中の協定発効は難しいと思われます。

しかしこうした状況を考慮しても、この協定は在蘭の日本企業とその従業員・家族にとって、また逆に在日オランダ企業とその従業員・家族にとって、赴任国での社会保障受給を明確化するものであり、また両国経済にとっては直接投資への障害を取り除くものと期待されています。

この協定の詳細に関しては、オランダ大使館経済部までお問い合わせ下さい。

社会政策

オランダで最初の社会保障法が成立したのは、1800年のことです。このとき成立したのは若者と女性の雇用に関する規則を定めた法律で、重要性はそれほど高くありませんでした。しかし、この法律はその後、世界で最も幅広い分野にわたる、手厚い社会保障法へと発展しました。

現在では、社会保障関係費が増大し過ぎたために、オランダの社会制度は切迫した状況に置かれています。オランダ政府はこの数年間、疾病休暇の濫用防止と受給者の削減を目的とした抜本的改革に取り組んできました。それでも、現在の社会保障制度は、オランダ社会が達成した最も重要な成果の1つであると考えられています。

地域社会の繁栄

オランダの社会制度は、すべての国民が社会において等しく積極的な役割を果たすべきである、という主原則に支えられています。しかし、高齢者、障害者、低所得世帯、資格のない若者、少数民族等の少数派、ホームレス、麻薬中毒者がそうした役割を果たすためには、支援が必要です。

政府は、こうした支援の提供を通じて、高齢者や長期失業者の労働の奨励など、別の目標を達成したいと考えています。さらに、政府は、雇用創出と実地訓練に資金を提供するなど、若年失業の問題にも取り組んでいます。
現行の福祉政策の下ではさまざまな実践が行われています。政府は、女性の雇用継続や復職を可能にするために、地方自治体による保育施設の拡充を奨励しています。

子どもを養育することが困難な親や、学業の遅れが懸念される子どもの親にも支援が提供されています。また、長期失業者には、借金から精神的な不調に至るまで、さまざまな問題を解決するための支援が提供されています。2003年4月、政府は「障害者および慢性疾患患者の均等な待遇に関する法律(the Equal Treatment of Disabled and Chronically Ill People Act)」を採択しました。この法律は、障害者を差別から守り、障害者による社会への全面的な参加を促進することを目的としています。

住民の社会福祉に対する主な責任は地方自治体にあります。地域レベルで社会経済問題の総合的な解決法を探る取り組みが、多くの自治体で行われています。その目的は、全住民が地域社会の一員としての自覚をもてるような、地域社会の繁栄を達成することにあります。

少数民族の融和は、今日最も困難な政治課題の1つとなっています。これは、まさにオランダ社会が直面している大きな問題の1つです。オランダの少数民族には、オランダ海外領(アンティル諸島とアルバ島)やスリナムからの移民、仕事や保護を求めてオランダに入国した人々が含まれます。現在、オランダの総人口の約10%をこうした少数民族が占めています。オランダの首都、アムステルダムの住民の国籍は200カ国に上ります。

過去数十年間に、オランダは、出身地の異なる多くの人々が共に生活する多文化社会へと発展しました。オランダ人は異なる信念や信条を持つ人々に寛容なことで知られています。17世紀に主に宗教上の信条で迫害され、母国を逃れた人々を保護して以来、オランダには寛容の精神が培われてきました。
オランダ政府が多文化社会を選択したことは明らかです。オランダは、すべての国民に宗教の自由、母国語の使用、固有の文化の維持、機会均等を保証しています。その点で、オランダは、寛容な精神を持ち、円滑に機能する社会の実現を重要な政治的優先課題とする国と言えるでしょう。

しかし、融和への道は平坦ではありません。たとえば、トルコやモロッコ出身の人々が失業する可能性は、オランダ出身のオランダ人の5倍と言われています。そこで、政府はこれらの少数民族の社会参加を奨励するために、こうした人々に訓練の機会を与え、立法措置を通じてこうした人々の雇用を促進する奨励策を講ずるなど、さまざまな対策に取り組んでいます。
強制的な融和政策は、こうした人々が不利な立場に置かれることを防ぐ1つの手段でもあります。
オランダに入国した移民は、入国後すぐにオランダ語とオランダ社会に関するコースの受講を義務付けられます。また、就職支援を受けることもできます。

無理のない社会保障制度の維持
もう1つの重要な政策課題となっているのが社会保障制度です。オランダの社会保障制度は世界の模範となる素晴らしい制度と見なされており、政府は制度の維持に努めていますが、費用がかかり過ぎるという声もあります。現在では、多くの国民がこの制度は費用がかかり過ぎると考えています。社会的平等の必要を考えると、政府としては、現在の社会保障制度を可能な限り維持したいところです。
しかし、実際には制度を改革せざるを得ませんでした。たとえば、受給者数が100万人近くに上った勤労不能保険給付制度の改革です。総就労者数と比較してこの数字は高すぎる、というのがオランダのほとんどの政党の一致した見解です。より多くの人々に就労を継続させるとともに、雇用者や被雇用者がこの制度をこれ以上濫用できないように、勤労不能保険法(the Invalidity Insurance Act) を改正しなければなりません。

この問題を解決する1つの方法は、支給要件を厳しくして制度自体の魅力を削ぐことです。しかし、国民はこれらの制度を必要不可欠と考え、強い反対の意志を示しています。

各種制度
国民保険、被雇用者保険などの各種保険制度の概要を以下に示します。オランダに居住している人、またはオランダで就労しているすべての人には、これらの保険の1つが適用されます。保険料は、雇用者と被雇用者が折半し負担します。

国民保険

  • 一般老齢年金法 (AOW):この法律は、すべての国民に65歳から老齢年金を受給する権利を与えています。
  • 一般遺族補償法(ANW):この法律は、死亡者の配偶者やパートナーが扶助金を受給する権利を規定しています。
  • 一般児童特別手当法(AKW):この法の下では、親や養育者は、18歳未満の子ども1人1人に、手当を受給する資格があります。
  • 特別医療費保険法(AWBZ):特別医療費保険法は、国民健康保険や民間健康保険のきかない、高額な医療費のリスクをカバーします。

    被雇用者保険

  • 医療保険法(the Sickness Benefits Act):この法の下では、雇用者は被雇用者に対して、疾病休暇の1年目には給料の70%を支払わなければなりません。この疾病休暇には、妊娠、出産、臓器提供が含まれます。女性には、16週間の出産休暇を取得する権利が認められており、この間は給料が全額支給されます。
  • 失業保険法(WW):この法律は、65歳未満の被雇用者が失業した場合に、失業中の生活を保障します。一定の条件の下で、最初の6ヶ月間は最低賃金の70%が支給されます。このほか、条件を満たせば、所得に応じて失業手当が支給されます。所得に応じた失業手当の支給期間は受給者の就労経歴によって異なりますが、6ヶ月から5年です。
  • 勤労不能者保険法(WAO):この法律の目的は、長期にわたる病気や障害によって被雇用者が収入を失うリスクをカバーすることにあります。受給資格を得るには、いくつかの条件を満たす必要があります。たとえば、52週間のうち少なくとも15%の期間、就労不能な状態になければなりません。労働障害保険の受給期間は最高5年間です。その後は、受給者は改めて給付申請を行う必要があります。給付額は、就労不能度、所得、年齢によって異なります。
  • 国民健康保険法:この法律は、医療費、医療補助費、入院費、歯科治療費の一部をカバーします。この保険は、複数の国民健康保険基金によって実施されています。

これらの法律とは別に、最低限の収入を保証するための社会保障制度上の仕組みは数多くあります。その中で最も重要なのは、低所得者や無収入者を対象とする一般援助法(WWB)です。障害(再統合)法のように、障害者や長期失業者の就労を奨励するものもあります。
詳しい情報は、社会・雇用省のウェブサイトをご覧ください。