オランダ大使館・オランダ総領事館, Japan

国家組織

会制度を持つ立憲君主国

君主がオランダ王国の国家元首であり、ヨーロッパにあるオランダ本土、蘭領アンティル諸島(ボネール、キュラソー、サバ、セント・ユー スタティウス、およびセント・マーティン諸島)およびアルバ島の3つの領域から成るオランダ王国を治めています。

蘭領アンティル諸島とアルバ島にはそれぞれ、君主代理の総督が置かれています。オランダ閣議は、蘭領アンティル諸島とアルバ島に全権の あるオランダ 内閣と大臣で構成されており、オランダ王国全領域においての内閣として仕えます。法律の制定はオランダ閣議により提案され、オランダ議会によって可決され ます。

オランダ王国と蘭領アンティル諸島およびアルバ島との行政関係は、オランダ王国憲章において制定されています。1954年に制 定された 憲章は、オランダ憲法に先行するほどの最高の憲法の文書です。憲章では、オランダ、蘭領領アンティル諸島およびアルバ島は、王国全域内で同等の地位を持つものと定められており、王国は一種の連邦であるとも考えられましょう。

憲法
オランダの統治制度は、憲法に基づき次の根本方針が明白にされています。
-君主制
-代表民主制
-法治国家(基本的権利を含む)
-地方分権単一国家

君主政体
政府は君主と大臣から成ります。1848年 に憲法が大幅に改正されて以来、オランダは議員内閣制度を持つ立憲君主制となりました。

立憲君主制とは、世襲制君主の権限を憲法が定める制度です。憲法は、君主と省庁政府機関の権限配分についても定めています。政府の行政について議会に責任があるのは閣僚で、君主は政治的責任を負わず、従って議会から責任を問われることもありません。

君主は、国家元首としての任務の1つに、国王の開会の辞があります。これは「プリンシェスダフ」と呼ばれる、毎年9月の第三火曜日に行 われる国会開会式にて、来る年の政府の政策計画を発表するものです。

君主は、組閣においても重要な役割を演じます。選挙後に、国家元首は各政権参加政党のリーダー、国会上院・下院の議長、枢密院(国務会議)副議長に助言を求め、これに基づいてインフォルマトゥールと呼ばれる、組閣のために詳細な政治情勢を国王に奏上する情報提供者を指名し、必要と考えられる時には、 どの政党が連立政権形成の用意があるかの調査を行います。連立政権形成の意図がある政党は、連立内閣の任期中(4年)の政策を表す協定書を提出します。君主はフォルマトゥールと呼ばれる組閣担当者を指名し、組閣を命じます。新政権の閣僚は、王国法令により任命され、君主のもとに宣誓就任します。

この儀礼的な任務のほかに、君主は首相、閣僚、経済・文化界の要人と定期的に話合いの機会を持っています。

内閣と政府
行政権の長である首相およびその他の国務大臣により、内閣が形成されています。内閣の任務は、政府行政、法律制定の準備、法律の施行、州と地方自治体の監視、外交です。2003年度の内閣は、16名の大臣が任命されました。各省庁担当大臣の活動内容は、本書に記載されています。大臣は政務次官により補佐されています。政務次官は閣議事項の整理や内閣の庶務を取り扱います。政務次官は内閣の閣僚ではありませんが、実質上の役目から政府の官僚です。

枢密院
枢密院は、オランダで 最も歴史の古い国家機関 です。1531年にカーレル5世が設置し、現在でも 国家最高諮問機関です。政府は法案、議事規則、国際協定の議会批准法など全て枢密院に諮問せねばなりせん。ただし政府は枢密院の助言に拘束されるわけであ りません。枢密院は君主が議長を務めます。副議長と最大28名の顧問官によって構成されています。さらに加えて、最大50名の臨時顧問官を任命することができます。

通常の枢密院顧問官は、社会への貢献が認められた人物で、内務・王国政務大臣の推薦と法務大臣の同意に基づき、君主が任命します。枢密 院顧問官は終 身制ですが、実際には70歳になると引退します。枢密院の副議長が日常の運営を執行します。王位後継者は18歳になると枢密院会議に同席します。君主が崩御し後継者または摂政者がいない場合、枢密院は君主の大権を行使します。枢密院は行政法における最高司法機関の役目も果たします。

会計検査院
会計検査院は、国庫の財政管理を監査します。国が財政的に関与している各省庁、半国有企業や、その他公共基金で運営されている法人などの歳入歳出について、その正当性と有効性の双方を鑑みながら監査を行います。会計検査院の監査官は3名で、政府がそのうちの1人を院長に任命します。全員が終身任命で、会計検査院の年次報告書は政府と議会に提出され、その後に発行されます。

全国オンブズマン
1982年に、全国オンブズマン (公共機関に対する苦情調査官)が設けられました。政 府の対応の仕方について、市民は誰でもオンブズマンに直接調査を依頼することができます。また、オンブズマンが自発的に調査に乗り出すことも可能です。最終調査報告を発表する前に、まず苦情対象当該者に送り、応答の機会を設けます。その後に最終報告書が公表され、当該公共機関の対応についてオンブズマンの判定を記した報告を公表します。この報告書で勧告することもできます。全国オンブズマンは、下院によって任命され、任期は6年です。完全に独立な立場で任務にあたり下院に報告を行います。

国会
18歳以上のオランダ国民は誰でも下院総選挙での投票権と被選挙権があります。国会は上院と下院からなる二院制です。上院は合計75議席で、間接的に州議会の議員によって選出されます。下院は有権者が直接選挙で選ぶ150議席から成ります。法律は全て議会を通過しなくては成立しません。国会は君主および内閣とともに立法権を形成します。

国会が協議と決議を実施できるのは、総議席の半数以上が出席している場合のみに限られます。議案の通過には過半数の賛成票が必要です。 政府は行政権 を持っていますが、これについて国会に説明する義務を負います。閣僚は行政事務を遂行するために、国会の信任を受けなくてはなりません。政府の任務期間において、下院は不信任の動議を可決することができます。一方政府は、議会を解散させて新たに総選挙を召集することができます。

行政の監督
上院と下院には、政府の行政権を監督するため、以下4つの権限を持っています。
予算査定権:政府が提出した国家年次予算案の査定権。
説明要求権:議員は大臣に、ある主題についての討論を要請できます。そうした要請が拒否されることは殆どありません。
大臣と政務次官に質疑する権利:通常、質疑は書面で行われます。質問趣意書の他に、下院では、いわゆる「質問時間」と呼ばれる形式で、口頭で質問することができます。閣僚は全ての質問に答える義務があります。大臣が要求された情報の提供拒否ができるのは、そうすることによって国益が損なわれる恐れのある場合のみに限られます。
調査権:国会は政府とは別に独自の調査委員会を設置して、調査を実施することができます。調査委員会は関係人物を召還して審問でき、 召還された人物は宣誓のもとに証言する義務があります。

こ の他、上院・下院ともに、ある主題についての見解表明動議を他院とは別に独自に採択することができます。動議を票決に付するには少なくとも5人の議員の賛成が必要です。また、動議が採択されても、大臣はこれを実行する義務はありません。ただし、不信任の投票の場合は、内閣は解散を強いられます。

下院は、以上の他に法案修正権および法案提出権という2つの権利があります。下院は法案審議中に法案を修正したり、議員1人あるいは賛成議員グループによって法案の提出ができます。

国会議員には、議員特権があります。両院内や国会委員会会議での演説や発言、あるいは国会に提出した書面での表決に対しての免責特権を 意味し、議員が訴追されることはありません。

政党
オランダには、その選挙制度により多数の政党があります。下院では国民投票の0.66%を獲得すると1議席になる比例代表制がとられています。各政党の資金は各自で賄われ、党員に会費を課すことにより主な財源としています。その他、企業からの献金を受けてもよいのですが政党はそれを申告せねばなりません。

3層から成る行政
オランダの行政は、中央、州、地方 自治体の3層にから成っています。中央政府は国家行政を担当します。また州 政府と地方自治体政府は地方行政を担当します。またこの他に、地方の治水を行う 地域治水委員会があります。

州政府と地方自治体政府は、それぞれ別途の独立した内規を可決することができますが、国の法律に準拠する必要があります。また、中央政府の条例の実施に協力せねばなりません。地方自治体の場合、所属する州が採用した条例の実施の際にも適用されます。


オランダには12の州があります。州政府は環境管理、土地開発、エネルギー供給、社会福祉事業、スポーツ、文化の政策の施行を担っています。州行政機関は、州議会、州執行委員会および州知事から成ってい ます。

州議会の議員は、その州に居住する有権者によって4年毎に選出されます。州議会は、議員の中から4年間の任期で州執行委員会の委員を任命します。中央政府が任命する州知事は最初の任期が6年で、その後再任命が許されます。州知事は州議会および州執行委員会の議長を務めます。

地方自治体
オランダには467の地方自治体があります(2005年現在)。地方自治体行政機関は、給水、交通、住宅、公共教育、地方自治体の厚生福祉、ヘルスケア、スポーツ、レクリエーションおよび文化政策の施行を担っています。地方自治体行政機関は、 市議会、市長および市参事会(市長と助役からなる)から構成されています。

地方自治体政府は、州政府並びに中央政府の監視下にありますが、監視体勢は非常に控え目です。市議会は議員の中から助役を任命します。 中央政府が任命する市長の最初の任期は6年で、その後再任命が許されます。

市長は市議会および市参事会の議長を務めます。市参事会は中央政府および州執行委員会による決定事項を実施します。市議会議員は、その地方自治体に 居住する有権者によって、4年毎に選出されます。オランダに5年以上居住した正規の居住権を持った外国人にも地方自治体選挙権があります。

域治水委員会
地域治水委員会はオランダにおける最 も古い民主制機関の1つです。国土の約4分の1が海面下である国にとって、治水は重要な問題です。

治水委員会は、中央政府、州および地方自治体と同様に公共組織です。国を水から護っているのです。任務としては、ダム、堤防および水門の建設と維持、水位管理と排水・給水管理、並びに水質管理維持などが含まれています。治水委員会の執行委員会の委員は地域治水委員会の管轄区域の家主や地主によって選出されますが、治水管理官と呼ばれる執行委員会の会長は政府が任命します。

法治国家
オランダ法には、政府が独断的な権限をふるうことを防ぐ基本的な原則が定められています。これに則って政府の行動は法律を遵守しなければなりません。

他の基本原則として、憲法第1条に「オランダにいる全ての人間は、同等の境遇のもとに、同等の待遇を受ける。宗教、思想、政治的信条、 人権、性別、 もしくはその他いかなる理由による差別は許されない。」と謳われています。憲法の第1章全体が基本的権利に充てられてあり、私生活に関する政府の干渉から 市民を守る公民権および政治的権利と、政府に明確な責任を課す社会権について述べています。

法治国家の特徴は権力分離の原則です。オランダでは、1848年の憲法が徹底的に改革された際に、この原則が適用されました。明示事項のひとつは独立司法制度です。

司法制度
民法と刑法の裁判権履行は、19の地方裁判所、5つの高等裁判所、そしてオランダ最高裁判所にてされます。裁判の仕組みには3つの段階があります。訴訟は最初に地方裁判所で審理されます。次に地方裁判所の判決後、告発側および被告側ともに上級裁判所に控訴することができます。最後の手段最後の手段としての司法機関である最高裁判所では、原判決の「破棄」を扱いますが、これは事実検証ではなく、法が正当に適用されたかどうかを審理するものです。オランダの全ての裁判所は、裁判官により統轄されます。裁判官は独立性を保証するために終身任命されます が、実際には70歳で引退します。